自閉症のクライアント、ジェームス

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このブログのご紹介と日本語訳は、二コル・パークさんに許可を得て掲載しています。

彼女は、二人の自閉症の男の子たちのお母さんです。去年の暮れに初回のコンサルテーションにいらっしゃり、ぼちぼちGAPS食事療法と私の週1回のエネルギー・ヒーリングに連れて来はじめたのが今年の初めでした。子供たちが夏休みに入った7月に、食事制限に本腰を入れ始め、時々許可されていない食べ物もこっそり食べられてしまったり、食べさせてさせてしまったりしながらも、何とか頑張っています。

その甲斐あって、下のジェームスは、初め、誰とも目を合わせることなく、母親の二コルさんを含めて人に触れられる事を好まず(何故か、私は初めからOKでした)、意味不明の言葉を四六時中発声していただのが、最近は、こちらが何かを尋ねると、ちゃんと相手の目を見て、完全な言葉ではないまでも、返事したり、自分の意見を返すようになったのです。意味不明の言葉を発声する時間も減ってきました。また、人ごみに入ると興奮して手が付けられない状態だったのが、先日ニューヨークの自然史博物館に行ったら、家族4人のファミリータイムをゆったり楽しめるようになっていたと、報告してくれました。

ご主人が、何とお医者様なのですが、彼は超オープン・マインドで、「医者が全て治せるわけではない。」と言い切り、また、「特に、自閉症は、(西洋医学での)治し方が未だ解明されていない。」と、自分の子供二人の自閉症改善を、私のような医学とは真反対の自然療法師に任せてくださっています。私もこんな素晴らしい経験をさせて頂いて、とっても感謝しています。

以下は、GAPS食事療法に本腰を入れる前の5月18日に書かれたブログです。

http://www.healing-kitchen.net/nicoles-healing-kitchen-1/2015/5/18/wlcyjsuqwzee34pkvhfkop2mzyayy6

ジェームズ  — James — (13歳)

2014年の12月、私達の旅は始まりました。自閉症の息子達を回復させるために、GAPS食事療法を始めたのです。この食事療法のことは以前から友人に聞いていて、その友人が公認GAPS食事療法士の岡牧子先生を紹介してくれたのです。

私は早速、2人の息子と親友を連れて先生のオフィスを訪ねました。そして、息子の状態と、何をどう変えたいと思っているのか、話をしました。先生からまず聞いたのは、GAPS食事療法のセッションを受けに来ているのは、私の息子(兄のダニエルが16歳で、弟のジェームズが13歳です)よりずっと小さい子供達だということ。この食事療法は5歳以下で始めるのが一番効果的なのです。

それでも良いですか?と確認され、私は「はい」と答えました。先生から二つの指示を受けました。一つ目は、発酵させたタラの肝油、バターオイル、プロバイオティクスなど、身体の解毒を促すサプリメントを買うこと(このブログに、サプリメントの一覧を掲載する予定です)。息子達だけでなく、家族全員が飲むようにとのことでした。二つ目は、自家製のボーンブロス(骨付きの肉や魚の骨を煮込んで作るスープ)とヨーグルトを作ること。これがGAPS食事療法の土台となる必須食品です。もっと知りたい方は、ウェブサイトのGAPSdiet.comを見てください。

指示を聞いた後に、私が真っ先に考えたことは、「ジェームズには無理だな」でした。何故なら、彼は生まれてこのかた、錠剤やカプセル剤をうまく飲めた試しがないので、サプリメントを飲めるはずがないと思ったのです。彼は、何の症状もなく高熱だけ出すことがよくありましたが、その時も薬を吐き出してしまうので、一晩中付き添い、熱が下がるまで濡れタオルで彼の身体を冷やし続けたりして、家族全員で乗り切らなければなりませんでした。

2人とも炭水化物中毒だということも、大きなハードルでした。GAPS食事療法では、小麦や米などの穀物は全て食べられないのですが、ジェームズはピザとプレッツェルが大好き。というより、それしか食べなかったのです。それは、彼が4歳の頃、小麦タンパクのグルテンと、乳タンパクのカゼインを排除するグルテン・フリー/カゼイン・フリー食事療法に挑戦したことがきっかけでした。3カ月間、悪戦苦闘したあげく、私が負けて止めてしまったのですが、その時に我慢させた反動で、米、スープ、ミルクなど、以前は食べていたものも口にしなくなって、毎日ピザとプレッツェルしか食べなくなったのです。毎週、マクドナルドとピザチェーン店のパパ・ジョーンズに通い詰めていました。ジェームズは嗅覚がとても敏感で、他の物を食べさせようとしても、ピザとプレッツェル以外のにおいがすると全部押しのけるのです。不健康な食事をさせていることに、私は罪悪感を感じていました。でも、ジャンクフードをあげないとひどい癇癪を起こし、泣き叫び続けてどうにもならなかったのです。私はもう嫌になってしまいました。彼の方も、言葉で自分の気持ちを表現できないので、欲しいものが手に入らなければ泣きじゃくるしかなかったのです。それを見ながら、私は途方に暮れました。健康的な食事に変えようと何度も挑戦しましたが、いつも散々な結果に終わりました。自分の子供なのに、全く言うことを聞かせられなかったのです。

私は牧子先生にこれを話して、ジェームズにこの食事療法は無理だということを分かってもらおうとしました。でも先生は、まっすぐに私を見てこう言いました。「貴方は自分の子供に、元気で健康に人生を歩んで欲しいと思わないのですか? 養護施設に通うことになっても良いのですか? 彼らから健康になるチャンスを奪ってはいけない!」それを聞いて、私は心の中でこう思いました。「そんなの分かってるわよ!」(実際は、先生はとても優しい人です。今も先生のセッションに通い続けています。)先生の言葉を聞いてすごく傷つきました。先生が私を非難していると思ったからです。外でジェームズが変わった行動をしたりおかしな音を立てたりすると、必ず周りの人が私達をじろじろ見ますが、先生も私をその人達と同じように見ているのだと思ったのです。

すると、行動療法士の友人が、「私が助けになるから、やってみよう」と言ってくれました。もう少しで涙が溢れるところでした。彼女のそれまでの訓練で、ジェームズの動作はかなり改善していました。そんな彼女が励ましてくれたことが心強く、私はやってみようと決心することができました。

必須食品の自家製ボーンブロスとヨーグルトを作るのは、なかなか大変でした。材料に、放牧され、牧草を食べて育った牛の骨と乳を使い、卵も、放牧鶏のものを探すのですが、これが一苦労でした。オーガニックスーパーのホールフーズに行けば、簡単に手に入るだろうと思って行ってみたのですが、考えが甘かったと思い知りました。目当ての物がなかなか見つからなかったので、結局、乳製品コーナーに長い間立ち止まって、商品ラベルを一つひとつ確認しなければなりませんでした。「ヘルシー」とか「身体に良い」とか書かれている商品なら山ほどあります。でもその中で、GAPS食事療法で薦められている、放牧牛のノンホモ牛乳(脂肪球の均質化処理をしていない牛乳)は、ほとんどありませんでした。放牧鶏の卵もなかなか見つかりませんでした。地元のスーパーマーケットには絶対にありません。「オーガニック」卵は沢山ありますが、それは、「オーガニック」の穀物飼料で育てられた鶏の卵という場合が多いのです。鶏は本来、草やミミズを食べます。つまり、オーガニック卵の多くは本当にはナチュラルではないのです。食材探しはとても大変でした。商品ラベルの記述を鵜呑みにせず、それが実際には何を意味しているのか分かるようにならないと、正しい商品は選べません。こんな話をすると、やる気が失せる人もいるかも知れませんね? 大丈夫です。私が見つけた必須食品の商品を、このブログの「Pantry」ページに全てリストアップしていきます。そうすれば、これから始める皆さんが、私と同じように商品の選択で悩まなくて済みますよね。

こうして、食べ物は何とか準備できました。今度はそれを、偏食の激しいジェームズにどう食べさせるかが問題です! 行動療法士の友人に助けてもらい、GAPS用食品を食べさせる訓練を始めました。まずはサプリメントに挑戦。最初に友人が、水無しで自分の口にサプリメントを入れるところをジェームズに見せ、「次は君がやってみて」と言いました。すると何と、彼が同じようにサプリメントを口に入れたのです! それまで1年ほど彼女の訓練を受けていたので、ジェームズは彼女が何か言った時に自分がどうすべきなのか、分かるようになっていたのです。友人は毅然とした態度で訓練をしました。新しい食べ物に挑戦する時は、家の外で訓練をして、食べるまで家に帰さないことにしました。ジェームズは吐き気を催したり、実際に吐いてしまったりしたのですが、彼女は表情ひとつ変えませんでした。ある時は、ジェームズを車に乗せて家から遠く離れた場所まで行き、食べ終わるまでは車から出さないと言ったのです。1月の午後5時を過ぎて、外がすっかり暗くなっていましたが、彼女は言ったことを貫きました。ローストチキンから始めましたが、吐かずに食べられるようになったのは、1カ月後でした。その後、ヨーグルト、ボーンブロス、ニンジン、リンゴなどに挑戦させました。ジェームズが、彼女との訓練中に何か一つ食べられるようになったら、私と一緒の時でも食べられるよう、訓練しました。私の隣でジェームズにその食べ物を食べさせるだけです。そうすると、翌日には私と2人きりの時でもそれを食べられるようになるのです。そこまでできたら、次の食べ物に挑戦するというサイクルで進めました。

とにかく我慢強く続けることです。食べてはいけない物を、台所に置かないようにしなければなりません。そうやって、子供が好きに食べられる物がないようにしておけば、親が出す物を食べるのです。身に覚えのある話ではありませんか? 私達も子供の頃、親に「これを食べなさい、これは食べてはダメ」と言われましたよね。それに反発して「私は、お母さんみたいに厳しい母親には絶対にならないから!」と言ったりしました。でもこれは、残酷な罰ではなく、厳しさという愛だったということが、今は分かります。

食事療法を始めた頃、同居していた夫の両親のための本格的な韓国料理と子供用のGAPSの食事を、同時に作らなければなりませんでした。韓国の家庭では、伝統的に年上の人を敬います。祖父母が最優先で、子供は最後です。私達はアメリカで生まれ育ちましたが、儒教の教えは深く根付いています。両親よりも子供を優先することはありません。この16年間、私は子供よりも夫の両親の好みを優先して食事を作ることがほとんどだったのです。そのこと自体に不満はありませんが、子供用と大人用に毎食別々の食事を作ることになり、それは本当に大変で、体が疲れ切ってしまい、精神的にもストレスを感じました。このことを、西洋医学の医者である夫に相談してみましたが、逆に気力を失くしてしまいそうになりました。私に何とか頑張ってみろと言うのですが、自分自身は時間と労力を割いて協力しようとはしませんでした。コーンチップスの袋を持って帰って来るような時もあって、その時、私は彼が何を考えているのか分からなくなり、とても腹が立ちました。でも今では、夫にはピーナッツと自家製のビーフジャーキーをおやつに食べてもらうようにしました。夫の両親にも、子供用の食事を優先して作ることを理解してもらいました。説得には時間がかかりましたが、今は全力で私をサポートしてくれています。彼らの大きな愛情を感じています。有り難いことに教会でも、女性のグループが私達家族のために祈ってくれました。もう食事療法を止めてしまいたいと思うことも何度かありましたが、そんな時に彼女達の祈りに励まされるのを感じました。

難しかったのは、学校でジェームズにGAPSの食事を食べさせることでした。以前はお弁当にプレッツェルと水しか持たせていなかったのですが、健康的な食べ物を持たせるようにしたら、何も食べず、お腹を空かせて帰ってくるようになったのです。朝、7時20分にスクールバスに乗り、午後3時に帰宅するのですが、その間の8時間、何も食べなかったのです。私は教師に手紙を書いて、無理にでも食べさせてくださいとお願いしました。行動療法士の友人も学校に出向いて、スタッフに食べさせ方の訓練をしました。それでも、手つかずのランチバッグを持って帰って来ました。これはもう、圧力をかけるしかありません。私は学校に連絡し、ジェームズのIEPに食事プログラムを追加してもらうよう、ミーティング開催を要求しました。(IEPは、Individual Education Programの略。障害を持ち、特別支援教育を受けている生徒一人ひとりに合わせて作成される教育プラン。法定文書で、教師とその生徒の教育に関わる学校関係者全員が、状況に合わせて内容を見直す義務を負っている。)私は今の学区で9年間、障害児保護者の擁護ボランティアを務めました。その役目は、保護者が効果的に学校に働きかけ、要望がきちんと教育プランに盛り込まれるよう、サポートをすることです。特別支援教育委員会でも5つの重要役職に就きました。この経験を通して学んだことは、保護者が自分の権利を知ることがまず大切で、子供にとって必要なことを粘り強く要求していかなければならないということです。中には怒ってむちゃくちゃなことを言う保護者もいます。私はその気持ちも分かります。自分の子供が必要な支援を受けていないと分かったら、腹が立つのは当然です。

食事を変えて大きく変わったことの一つは、ジェームズが夜、よく眠るようになったことです。以前は必ず、夜中に2回は目を覚まし、私を探したり、家の周りをうろうろしていました。息子達が生まれてから、私は3時間連続で眠れたことがなかったのです。そういう状態だった彼が、今はぐっすりと眠っています。パパ・ジョーンズのピザは、まだこりずに食べたいと言います。でも私が「ダメ」と言っても以前のように癇癪を起こしたりしません。毎週日曜、教会に向かう前に、マクドナルドでパンケーキを買う習慣だけは止められずにいましたが、今から3週間前に、ジェームズがパンケーキを食べた後にお腹が痛いと言ったので、「パンケーキのせいよ」と言ってみました。そして次の日曜の朝、今日は食べないでおこうと言ったら、何と「オーケー」という返事が返ってきたのです。夫と私はびっくりして、顔を見合わせました。神様への感謝の気持ちで一杯になりました! 他にも沢山の変化があります。フェイスブックに写真を投稿した時には、それを見た友人が、ジェームズがちゃんとカメラ目線になっていることに気付きました。それまでに撮った写真には、いつも誰かがジェームズの頭を押さえて、カメラの方に向けているのが写っていましたから。人の顔をまっすぐ見ることもできるようになりました。長い間、自分の意志でアイコンタクトを続けることもできます。兄のダニエルには、もっとはっきりした変化が起きています。彼の方が目に見える健康の問題が多く、変化も分かりやすいのです。次の記事で紹介します。

ジェームズの本質的なところは、食事療法を始める前とまだ変わっていません。自閉症の症状はありますし、場違いな行動で目立ってしまうこともあります。でも彼は、「不健康な自閉症児」から、今では「健康な自閉症児」になりました。これから2〜3年間で、彼がどんな風に良くなり、進歩するのか、皆さんにもお伝えしたいと思います。私達の旅はまだ終わっていません。

(日本語訳、阿部里果)

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MAKIKO道場総帥。 幸せになる為の術を学ぶ道場をニューヨークに開設。 ポスチュア・バランス・エクササイズ発案と指導。霊感をもった、ナチュラル・ヘルス&ライフ・スタイル・カウンセラー、エネルギー・ヒーラー。 健康である事、自然である事が、人間を幸せに導くと確信する。 3次元の地球に生きる意味を、追求している。