Gut and Psychology Syndrome 第七回目「GAPS用、食事治療 –2.」

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第七回目「GAPS用、食事治療 –2.」

GAPSの患者たちは、大人も子供も同様に多くの栄養素不足が深刻です。この栄養素不足によって、発育不全、機能不全に陥っている状態が、GAPSです。「うちの子は自閉症だけど、何でも食べます。」「うちの子は、好き嫌いが激しくて食べ物の種類が数少ないです。」と色々な状態に見えるのがGAPSです。見た目に食事の習慣が良くても悪くても、彼らの体内では同じように消化不全と吸収不全が起きています。

GAPSの症状を持つ人々に一番良くないのは、何と野菜と果物です。一般的に健康に良いとされる食物が彼らの症状を悪化させる原因になってしまいます。腸内細菌叢がダメージを受けていると、食物繊維を消化出来ません。野菜と果物は、噛むという初めの消化機能の後、胃酸の中をほぼ素通りして小腸まで送られ、そこで腸内細菌叢によって消化されるのです。全ての草食動物は、この反芻機能を持っていますが、何故か人間は唯一のそれを持たずに草を食べる動物です。そしてこの反芻機能の代わりに小腸内の腸内細菌叢が、食物繊維の消化を助けるように作られています。またこの消化の過程を、人体外で補助的に行った物が醗酵食品です。

野菜と果物は、炭水化物です。炭水化物=でんぷんです。「え~!ほうれん草も、でんぷん?」そうです。葱もニンジンも大根も、林檎も、葡萄もでんぷんです。という事で、腸内細菌叢が健全でないお子さんに、蛋白質や脂質以上にこれらの炭水化物を沢山食べさせるのは考え物です。ましてや、調理されていない、つまり消化補助が全くおこなわれていない生の野菜と果物を、GAPSのお子さんに与えてはいけません。蛋白質と脂質が、私たちの細胞の主な材料です。日本人は脂質を避ける傾向にありますが、脂質が十二分に接種されないと体の組織は、老化しやすくなります。特に脳細胞や神経細胞といった臓器は、主に脂質で出来ています。つまり、GAPSの治療には脂質が重要なのです。壊れた腸壁や、他の臓器の主な原材料は蛋白質ですので、蛋白質も不可欠です。そしてこれらの蛋白質と脂質が、消化・吸収、そして利用され易い状況を整えてあげる事が、GAPS治療の最大の目的なのです。皆さん御存知のように、植物性食物であっても蛋白質や脂質を多少なりとも含む物もあります。でも、それは動物性食物に比べて微々たる物で、早さが完治の決め手であるGAPS治療には適しません。

子供達の脳や神経の未発達などの問題は、大人が古い習慣に固執し、戸惑っている間に進んでしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。もし貴方のお子さんがすでにGAPSであるか、その徴候がみられるなら、直ちにGAPS食事治療を始める事をお勧めいたします。