Gut and Psychology Syndrome 第十回目「GAPS食事治療– 5」

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第十回目「GAPS食事治療– 5」

ケース・スタディ2.「アトピー性皮膚炎 -1」

私が症状改善に携っているアトピーのケースでとても気になるのが、学習障害、運動機能障害、情緒障害などを併発しているお子さんがほとんどである事です。中にはこういった併発している症状が非常に軽いために、はっきり目に見える形で起こるアトピーに気を取られて、御両親すら気づいていないケースが多々あります。「家の子は、何をしてものろいんです。」「家の子は、とても・・・に拘るんです。」程度にしか思っていないのです。

でも、どんなに軽くても、実はこの併発している症状の方がアトピー以上に問題です。何故なら、これらの併発する症状は、GAPSの影響が脳に到達している事を示す物だからです。

私の関っている全てのケースにおいて、それらの併発する症状が見られる場合、アトピー以外の症状が先に改善され始めるのが常です。中には、数ヶ月の内に完全に解消されてしまう場合もあるほどです。そしてその後に、アトピーが、良くなったり悪くなったりしながら、ゆっくり変化していっています。

アトピーの原因の全様は解っていません。解っているのは、アレルギー反応の支配者である免疫グロブリンE(IgE抗体)が過剰反応を起している事です。私たちの免疫システムは、二組の主力軍隊を持っています。免疫Th1細胞(外界と体が直接接触する全ての箇所に配置され、粘膜、皮膚、そして細胞内の感染と戦い、外敵が血中へ侵入する前に食い止める役)と、免疫Th2細胞(Th1を越えて血中に侵入して来る外敵と戦う)です。IgE抗体は、Th2の主な兵士です。慢性的なウィルス感染、アレルギー、慢性的疲労症候群、カンジダ症、喘息、湿疹、自閉症、そしてその他の大抵のGAPS症状を持つ人の体内では、 Th1の機能が低下し、Th2が過剰に反応するといったバランスの崩れ方が一般的に見られます。これらの全ての症状は、見た目には全く違うように見えても、Th1とTh2のバランスを整える主力媒介者である腸内細菌叢の異常という、大きな共通事項があるのです。                          アトピーを治すのは、根気が必要です。何と言っても本人は、常に痒みと戦わなければなりませんし、皮膚がボロボロに傷つきますから、側で苦しむ我が子を見守る御両親にとっては、精神的なストレスです。特に自然治癒力の高まる夜は、痒みが増して眠れない事がよくあります。何故ならアトピーという症状は、一種の好転反応であるからです。(次回に続く。)